原理的に正しいことを追求する

finalブランドのコンセプトについて教えてください。

シンプルに“原理的に正しいことを追求する”です。 私たちが本当に良いと思える商品を生み出すには、研究、開発、材料の選別、製造、そしてセールスまで、全てをレンズのピントのように、ピタリとあわせる必要がありました。この膨大な仕事の何から手をつけるのか。どう取り組むか。何を採用するのか。それらを決定するには、原理的に正しいかどうか。という基準が重要なんです。

そうなった理由。教えていただけますか。

私の性格もあるのですが、よくわからない理由だと、やる気が起きないんです。(笑)
20代の頃、働いた会社でも、とりあえずやっとけとか、理由がわからず振られる仕事は、全く力が出なかった。逆に、なぜそうするのか。意味が理解できる仕事は、大変でもやりがいを持てました。finalでも原理的に正しいこと。なぜそうするのか、明確な事を追求して、仕事に取り組むモチベーションを高く保っています。

どうせなら、おもしろいことを。

それに加えて、”おもしろい”を意識されているそうですが。

現在のスタッフが集まったのも“おもしろい”がキーワードでした。人は“おもしろい”に集まり、それが伝わった時、お金も生むんだと思います。そんな、あっといわせる、誰も作ったことのないものに挑戦したいと思っています。それには苦労もありますが、その分、やりがいがあります。人生のかなりの時間を使う仕事、やっぱり“おもしろい”ことをやりたいですよね。

“おもしろい”のインスピレーションは、どこからくるのでしょう。

関係する論文を毎日読むようにしています。誰かが、おもしろい！と思って必死で研究したことには、たくさんの発見があります。

おもしろい。への誘い方。

なるほど。原理的な正しさ。おもしろさ。確かに、製品に現れてますよね。さて、そんな“おもしろい”に魅せられたお一人が、菊地さんですが、誘った時のエピソードをお聞かせください。

前働いた会社で、ああ、菊地は自分と一緒だと思ったのがきっかけです。一緒にビジネスを始めるために、2回会社を辞めさせましたからね。笑

2回も！何が決め手だったのでしょう。

一緒にビジネスをしていく上で、絶対嫌。が一緒だと強いと思うんです。菊地は前の会社で同僚だったんですが、意味のわからない仕事には明らかにやる気が出てなくて。別の部署だったんですけど、わかりましたね。ああ、これは同じだと。

笑。なるほど。それで、2度も口説かれてしまったわけですね。

誘い方は考えました。彼は数字にも強いですし、ロジカルなので、ハイエンドポータブルオーディオはグラム単価が、金より高いぞ。と。

これは、また大胆な提案ですね。でも、それで、考えたわけですね。

そうですね。笑　なるほどな。。。と興味を持ちました。

製品と同じく、伝わらなければ意味がない。とうポリシーが現れています。

追求は全てに

以前の事業では、パッケージデザインやプロモーションのクリエイティブを、菊地さんが担当されていたそうですが。

経験ないのに、原理原則をしっかり学んでやってけばできる。と言われてとにかくやりましたよ。写真も自分で勉強して、製品カタログ用の撮影もしました。そうしてやってくと確かに、できてくるんですね。

原理的に正しいことを追求すれば、できる。そんな姿勢が、徹底されてますね。

最後にfinalそしてS’NEXTの今後についてお聞かせください

現実と区別がつかないところまでの没入感を提供したい。海外の展示会で、実物のピアノとスピーカーが並べて置いてあって、どちらから音が出ているのか、わからないスピーカーに出会いました。これは、すごいなと。でも、価格は5000万ほど。やはり、音をこだわっていくと、専用の部屋を用意して、家を建てるぐらいの費用がかかります。でも、それをヘッドホンで実現したいと考えています。ハイエンドモデルで培った技術を、低価格帯の商品に展開する試みも進行中です。
将来的に、皮膚から感じる音圧を脳に直接感じさせる技術とか、VR的な技術。脳波を測定して、オーダーメードのプロダクトを作る。そんな、時代が来るかもしれません。そうすると、イヤホン・ヘッドホンの領域を飛び出してしまうかもしれない。いずれにしても、おもしろい！またとんでもないことやったな！と言われるような仕事をしていきたいです。