JOINT WAY まずは自分たちの手で
製品開発がハイペースで行えるのは、JOINTさんが企画からプロモーション、ショップ運営、ECサイトの運営を内製化していることも一因かなと思いますが、なぜ内製化しているのか教えてください。
上野:そうですね。輸入卸の仕事から商品の企画デザインまでやるようになり、現在は自社ECサイトのエンジニアやフォトグラファーも内製化しています。先代が「なんでもまず自分でやってみるように。」と言っていたのも影響しているかもしれませんね。それと、作り手が感じた「日常の幸せ」を最大限に表現し、使い手に共感してもらうのに、社員自らが発信できるスタイルが効率的だなと感じています。
店内にはキッチン用品だけでなくアパレル商材も並ぶ。インテリアや壁の色も自分たちの手で作り上げた。
職種もスキルも全然違う社員がお互い上手くやっていく秘訣はありますか?
上野:秘訣と言えるのかわからないんですが(笑)。一人何役もこなすようにしています。違う職種を経験することもあります。橋本も今はプレスですが、前は営業でした。小さな会社だからこそ、縦割りにするのではなく、みんなの良いところを出し合って今の会社になっているのだと思います。
一人何役かするとすごく忙しいときもありそうですね。
橋本:どの業務も一人でするのではなく、誰かが抜ける時は必ずもう一人がフォローに入れる体制を整えていて、ブラザー制度って呼んでます。おかげで、普段から他の人がどうしているか。自然と気にするようになってます。これはすごくありがたいシステムです。
オフィスは一部屋なので皆の様子がすぐわかり、全く別の職種のメンバー同士が隣に座ることも。シナジーの起きやすい環境が作られていた。
自分の仕事をピンチの際に代わってもらえるのは安心感がありますね。また、他の人の仕事も理解できるので、相手の立場にたったコミュニケーションが取れそうです。
上野:ブラザー制度はJOINTが女性が多い職場(13人中11人)なので、それぞれのライフステージに合わせた産休や育休、そしてお子さんの体調不良などで急に職場を離れるといった事態に対応するため自然と生まれた制度なんです。
優しさの「見える化」
荻原:私はこの中では社歴が長い方になっているのですけど。。今、頭の中にそんなスタッフの顔が浮かんできて泣きそう。。(笑)この制度ができる前から、誰もが「誰かが困っている様子に気がついて、助けに入る。」文化がJOINTにはあったな。って。今は人数も増え制度化されて、新しいメンバーにも浸透していますね。
素敵な職場にはそんな文化があったんですね。
泊:お互いに、困っていて、助けてもらったときの気持ちがよくわかるので、助け合いの相乗効果が起きて、困っていると自然とみんなが寄ってきてくれます。だから、小さな会社でも仕事を円滑に進めていけるのかもしれません。
家族の物語 先代の想いを乗せて
先ほどから先代のお話が出てきますが、かなりお若くして事業を継がれたようですね。どのようにしてJOINTははじまったんでしょう
上野:僕は2代目で、先代は僕の父です。1986年にバブル期に海外の若手デザイナーを日本の会社とマッチングする事業を先代が設立しました。バブル崩壊後、イタリアの総合キッチン用品ブランドの卸売事業に鞍替えし、百貨店に7店舗ほど展開していました。イタリアの輸入食器の輸入卸をする中で、キッチンリネン製品を企画したいという想いを両親が抱き、海外の展示会で工場を探して出会ったのが今も製造をお願いしているリトアニアの工場です。小さな頃から両親の海外出張に同行していました。Lino e Linaの誕生の頃はまだ高校生でしたが、Lino e Linaのwebサイトは僕が自作で作ったりしてました。
JOINTと一緒に成長された感じですね。卒業後すぐにJOINTに入社されたんですか?
上野:いえ。Webデザイナーを経て、荻原さんの産休の時に人が足りなくなるということで、2011年にJOINTに入社しました。食器の輸入卸、そしてリネン製品の卸が増えていったタイミングでしたね。ところが、僕が入って3年目で先代が急逝してしまい、全く予期しない別れとなってしまいました。「できればいつか継いでほしい。」と聞かされていたものの、当時は社長業を引き継ぐ心構えさえなかった。それでも、仕事を止める訳にはいかないので、先代のパソコンに残ったデータを引っ張り出してきて、履歴を見ながら、手探りで取引を再開しました。妹も、私と同じタイミングで入社していたので、一緒に乗り越えてきました。
激動の時代を社員一丸となって乗り越えた。振り返る荻原さんと泊さん。
大変な体験でしたね。社長業の船出としては波乱の幕開けかなと思いますが。
上野:その日から今まで、振り返る機会もなく、「これからどうしようか。」を常に考えてきました。最初の一年は事業継続をなんとかするので精一杯。そこからはとにかく会社をよりよくアップデートしたい。という思いから効率化するためにパッケージの販売管理システムを入れ、このオフィスへの引越しもしました。
素敵なオフィスですよね。
上野:2015年7月に現在の場所に移転しました。でも実は、まだ建設中だったので工事現場の中で働いてました。(笑)というのも引き渡し日までに工事が終わらなかったんです。しかも、前のオフィスの契約が切れてしまった。エアコンもまだない部屋に、業務用の送風機を入れて、各自保冷剤を用意してこの部屋で仕事していました。電源も工事現場から借用して使ってました。
これまた波乱の幕開けですね。みなさんどんな想いで仕事されていましたか?
荻原:私はちょうど産休明けでした。そんな時もありましたね。。。確かに、暑かった。(笑)その部分だけクローズアップすると大変なんですが、以前はお店の裏のストックルームの横で、こじんまりとデスクワークをしていたんです。そんな私たちを見て先代は「景色の見えるオフィスで働いてほしい。」「ずっと探してるんだけど、なかなか見つからなくて、ごめんね。」とおっしゃっていました。その後、ようやく見つかったこの緑道沿いの土地で、理想の建物を作るべく、ずっと取り組んでおられました。それなのに、完成を見ずして急逝してしまった。その想いを考えると、暑さなんてそんなに気にならなかったです。
現オフィスに先代が描いた理想が、しっかり引き継がれていた
そんなエピソードがあったんですね。先代の理想が詰まったオフィスなんですね。
上野:建物も今の形になるよう、先代と描いていたものです。一階がショップ兼ショールームで、後ろにバックルームがあって品出しもできる。2階にはオフィスと会議室やスタジオとしての機能するこの部屋。こじんまりとはしているものの、JOINTのすべてが詰まった空間です。建物が完成した後、今のオフィススペースにみんなで移動しました。
これからのJOINT 日本で出逢う、マダガスカルとリトアニア
さて、これからのJOINTはどうなっていく予定でしょうか。
上野:僕自身、「好きなものを使っていると気持ちが上がるな。」と思っていて、これからも人生を大きく変えるようなものでは無くとも、僕らの商品で「日常の小さな幸せ」をお届けすることを大切にしていきたいです。具体的には卸、EC、小売をさらに強くしていくことに加え、新しい商材も探しています。また、様々なバックグラウンドを持つ人と一緒に働きたい。という思いから、フランス人のwebデザイナーが最近仲間入りしました。みんなに「ムッシュ」と呼ばれて、すっかり馴染んでいます。彼は礼儀正しくて、日本人より日本人らしいんです。(笑)
この日がプレスデビューだった橋本さん。バカ売れです!と茶目っ気たっぷりに紹介してくれた
インナーバッグ「シュー」のネーミングはムッシュが考えたとか
そんな取り組みがカタチになった商品があるそうですね。
橋本:はい。マダガスカルで作られているラフィアでできたバッグや、ラトビアのカゴバッグの販売を始めました。ラフィアは植物素材で網状のバッグです。これだけだと中身が丸見えで気になったりするので、専用のリネンのインナーバックを製作して、セットで販売しています。インナーバッグはその形から、フランス語で「キャベツ」を意味する「シュー」と呼んでいます。シューはカラー展開しているので入れ替えると、全く違った雰囲気にでき、とても好評いただいていますね。
自由が丘でリトアニアのリネンとマダガスカルのラフィアが出会って、フランス人のwebデザイナーに名前を付されて、たくさんの人の元へ幸せを届けにいく。とてもJOINTさんらしい商品ですね。これからも楽しみにしています。
Talking about GEN
GEN導入のきっかけ
弊社が使用していた販売管理ソフトは、パッケージソフトを購入しただけで、弊社の業務にはフィットしておらず機能を使い切れてませんでした。在庫は販売管理ソフトで管理するものの、それ以外の業務である委託先倉庫への出荷指示や、請求書の発行、請求の管理はExcelで行っていました。そのため、人為的ミスが発生しやすい環境でした。会社の基幹業務を一貫して行えるサービスを導入することは、長い間弊社にとって課題でした。
いくつか候補を探して見積りをお願いすると、零細企業の弊社にとっては大きい導入費用の高さ、どこの会社でも必要であろう機能の追加程度で数十万円ものカスタマイズ費用がかかるパッケージソフトの料金体系の不透明さ、「今だにこれか…」とガッカリするインターフェースの古臭さに、どうしても納得できずにいました。そんな折、クラウドGENの存在を社内のスタッフが検索で見つけてくれ、問い合わせたのが始まりです。
仕事とはいえ、毎日使うものだから、インターフェースもスマートなほうが心地良いと思っていました。その点、GENのインターフェースは私の希望を叶えてくれました。また、ブラウザ上で完結でき、OSを選ばず、どこでもログインできる点は、場所を選ばず仕事ができるリモートワークの可能性を秘めているなと感じました。料金体系についても、Office 365やAdobe Creative Cloud、G Suite、Slack、Evernoteなどサブスクリプション型サービス全盛の時代において、GENの初期費用を抑えて月額をユーザー数で増減できる料金体系は時流にあっていると思いました。特にGENのフィールド・クリエイターという機能が秀逸で、自社に必要な項目や、欲しい表示のための計算式を自分たちで簡単に作れます。導入後も随時追加変更ができますので、運用開始後に業務の流れが変わったとしても、追加費用なしで自分たちで改良できるところが素晴らしいと感じ、導入を決めました。
現在の活用状況
当社の主要業務である、卸売と通販の出荷と在庫管理に使用しています。在庫管理、受注登録、委託先倉庫への出荷指示、請求書発行、入金回収管理までの基幹業務をGENだけで回せています。委託先倉庫さんもGENを使用しており、GENから出荷データをCSV出力し、倉庫側システムへの取込を行ってもらっています。導入以前はExcelで出荷データをメール添付で送っていたため、コピー&ペースト間違いや、データ入力ミスが頻発していましたが、導入後大幅に減りました。
今度の活用予定
パッケージソフトと違い、サブスクリプション型サービスである利点として、機能のアップデートがあると伺い、今後のGENの進化に期待しています。弊社では現在自社卸受注サイトを制作中です。そことGENでAPI連携し、在庫状況の更新や受注データ取り込みといった、スタッフが手動で行う部分の自動化を進めるつもりです。機械に任せられるところは任せて、本当に大事な仕事に注力できるよう、業務効率化していきたいと思います。