GEN
「唯一無二の美学」YUICHI TOYAMA.の世界観を体現し、未来を紡ぐ場所

Introduction

伝統と革新を融合させ、日本だけではなく世界中のファッション愛好家や眼鏡ユーザーから愛されるアイウェアブランドYUICHI TOYAMA.。
前編では、ブランド創設者でありデザイナーの外山さんが持つデザインへのこだわりや職人との関係性、価値を生み出すための哲学についてお話を伺いました。
そういった思いが、実際の空間づくりにどのように反映されているのか、後編ではフラッグシップストアのコンセプトや、インスピレーションを生み出すカルチャーについてお話をお聞きしました。

YUICHI TOYAMA.の世界観を体現するフラッグシップストア

昨年、初の直営店であるこのお店をオープンされましたが、どのような思いやコンセプトを込められているのでしょうか。

デザインに対する美意識や、自分たちの感覚を空間でも表現したい――つまり、「工芸としての眼鏡」をどう空間全体で表現するか、ということがコンセプトの核になっています。

入口を開けた瞬間にすぐ眼鏡を並べるのではなく、まず大きな石が目に入るような導線を設計しました。この石を見ることで視覚や意識が一度リセットされ、そこから眼鏡に目を向けることで、単なる商品としてではなく、工芸品としての新しい見え方を体感してもらえるんです。

入口の石にはそんな意図があったんですね。最初、なぜ石が置いてあるんだろうと不思議に思っていました。

オープン前は、正直すごく不安でした。表参道の骨董通りで、これだけ広い間口がある場所なのに、眼鏡がたった12本しか並んでいないんです。でも、「もったいない」と思う気持ちよりも、「どう見せたいか」という視点の方が、僕にとってはずっと大切でした。それこそが、フラッグシップストアを持つ意義のひとつだと思っています。

一般的なショップでは、さまざまなブランドの商品が並ぶ中で、YUICHI TOYAMA.はその一部でしかありません。でも、この場所に来ていただければ、YUICHI TOYAMA.の世界を丸ごと体感してもらえる。それが何よりの価値なんです。

ここに来てくださる方に「今すぐ買ってください」とはまったく思っていません。ブランドの世界観に触れていただき、その中で自然とお気に入りの一本を見つけていただけたら、それが一番嬉しいですね。

そんなショップは他には無いですよね。新しい取り組みに感じます。

お客様によっては行き慣れた取扱店で購入したいという方もいらっしゃいます。だからこそ「ご自身が一番買いやすい場所で購入してください」とお伝えしています。

ブランドが成長できたのは、取扱店の皆さんがYUICHI TOYAMA.を応援してくださって、お客様に紹介してくれたおかげです。だから急に直営店だけに力を入れるのは、僕たちのスタンスとして違うと感じました。目指しているのは、ブランドのハブとして機能することです。

もうひとつ大切なのは、アフターサービスやメンテナンスを提供する場としての役割ですね。AppleのGenius Barのように、製品を信頼してもらうためには、しっかりとサポートできる場所が必要です。眼鏡も同じで、「どこにメンテナンスに出したらいいんだろう?」と困る方が多いと思うんです。そんな時、製造元に直接相談できる安心感は大きいですよね。

そのため、僕たちはメンテナンスもできるショールームを作りました。でも、ただのメンテナンススペースではなく、眼鏡をゆっくり眺めたり、ブランドの世界観に触れられる空間としても楽しんでもらえる場所にしたいと考えています。

先ほどもお話ししましたが、ブランドのコンセプトは「ニュートラル」です。ビジネスの面でもその姿勢を大切にし、直営店だけで売るのではなく、取扱店ともうまく共存しながら、お客様が気軽に立ち寄れる場所を提供していきたいと思っています。

YUICHI TOYAMA.が紡ぐ、インスピレーションの源泉

本当に、素晴らしい体験ができる空間ですが、僕らがいるこの部屋には特別な用途があるそうですね。

ここは、お客様と一緒に眼鏡を作るための、いわば「オーダーメイドルーム」のような空間ですね。

部屋に置いてあるのは、僕自身が好きな私物ばかりなんですが、本当はこのスペースにもっとキャビネットを置いて、ガラス越しにディスプレイできるようにしたいんです。

置いてある雑貨や工芸品を眺めながら、物づくりの過程そのものを体験してもらうことで、「ああ、外山さんはこういうものが好きで、それがこの眼鏡に繋がっているんだな」と感じてもらえる。そんな“情報のつながり”を自然に作り出せることが、このお店の一番の特徴なんです。

最近は便利で、スマホのカメラでパシャッと撮ればすぐに調べられます。でも、ここではスタッフとの会話を通して、「これは剣持勇さんのデザインでね」とか、「日本って昔からこういう格好いいものを作っていたんだよ」といった話が自然と生まれ、学びの場にもなっています。

僕自身も、若い頃は先輩たちからたくさんのことを教わってきました。その知識や感動を、今度は自分が若い世代に伝えていきたいと思っています。特に、日本のミッドセンチュリー期のデザイナーたちがこだわり抜いてきたことを、もっと多くの人に知ってほしいんです。

当時の日本人デザイナーたちは、西洋の文化から影響を受けつつも、自分たちなりの手仕事や職人技を取り入れて、どんどん洗練されたデザインを生み出してきました。でも、「ミッドセンチュリー」と聞くと、多くの人はアメリカやフランス、北欧のデザインを思い浮かべますよね。その陰で、日本のデザインは少し埋もれてしまっている。

眼鏡も同じです。「メイド・イン・ジャパンの眼鏡は本当に素晴らしい」ということが、なかなか伝わってきませんでした。でも、鯖江の存在がクローズアップされるようになって、ようやく多くの人が「鯖江ってすごいんだ」と気づき始めてくれたんです。

工芸がブランドの軸になっていることが、すごく伝わってきます。

結局のところ、僕が職人さんに憧れて眼鏡づくりを始めたという事実が、すべての原点なんです。でも、じゃあ何がデザインのインスピレーションになっているのかと考えると、僕の場合は街から生まれるストリートカルチャーのパワーなんですよ。それが、僕にとってはヒップホップなんです。

職人技とヒップホップが融合して「YUICHI TOYAMA.」が生まれているって感じですね。面白いです。

結局、「らしさ」っていうのは、自分の中にあるさまざまな歴史や考え方を全部ひっくるめて表現することだと思うんですよ。職人さんたちの技術を十二分に引き出して、そこに僕のヒップホップ的な精神や、ストリートで培った感覚を全部混ぜ込んで。YUICHI TOYAMA.というブランドは、そういう総合体なんです。

仲間と共に描く、YUICHI TOYAMA.の未来

今後の展望があれば、伺ってもいいでしょうか。

さまざまなプロジェクトに挑戦してみたいと考えています。たとえば、このお店の形態を海外、特にパリやアメリカなどで展開してみたいですね。そこには大きな可能性があると思っています。

また、YUICHI TOYAMA.の魅力だけでなく、日本のプロダクトそのものの良さも、もっと海外に広めたいんです。現在の円安もあって、海外からは購入しやすくなっていますが、為替の影響だけで終わるのはもったいない。「円安だから買う」のではなく、「価格が上がっても、この価値なら欲しい」と思ってもらえるようなモノづくりが必要です。今の好調が一時的なものにならないよう、もっと深く考えて取り組んでいきたいですね。

そして将来的には、オーダーメイドで生まれたアイデアやデザインが、YUICHI TOYAMA.の次なるDNAとして受け継がれていくようにしたいと考えています。たとえば、若い世代のデザイナーがYUICHI TOYAMA.の精神を体現し、ブランドを進化させていく。僕自身はその過程で、監修やディレクションという立場から関わっていくつもりです。今まさに、そうした新しい流れを構築しているところです。

現在、外山さんご自身が原画を描かれているとのことですが、デザインチームがその工程に関わることもありますか?

はい。スタッフも増えてきましたし、今はちょうどブランドとしての節目の時期かもしれません。

現在、「Dライン」という新しいプロジェクトを進めています。これは、僕がここでオーダーメイドを受け付けることを想定したもので、いわばモーターショーで展示されるコンセプトカーのような存在です。

コンセプトモデルをベースに、量産向けのデザイン「Dライン」が生まれていくんです。マスに広がるプロダクトと、YUICHI TOYAMA.のコアとなる独自性がしっかりと繋がっていくーーブランドとしての一貫性と進化を両立させる取り組みなんです。

ブランドのコアとなる世界観があって、それが少しずつ外に向けて広がっていくわけですね。ここまでのお話を伺っていると、独特な企業文化を感じます。社員の皆さんにどうやって伝えているのでしょうか。

今、全社員は12〜13人ほどで、できる限りフラットな組織を目指しています。僕が「正解」を一方的に決めるのではなく、みんなが主体的に参加して、当事者意識を持てる環境を作りたいんです。

トップダウンのほうが、短期的な急成長はしやすいかもしれません。でも、みんなで意見を出し合い、“ニュートラル”にまとめていく組織のほうが、YUICHI TOYAMA.のブランド哲学には合っていると思っています。

営業や経理、人事、販売といったすべての部門のメンバーが、広い意味でのクリエイターであってほしいんです。みんなが創意工夫できる環境を整え、結果として会社全体がひとつのクリエイティブ集団になっていければと考えています。

結局のところ、スタッフ一人ひとりが「自分にしかできない何か」を持っているんですよね。それが集まって、会社というひとつの形を作り上げている。「自分たちで作っている」という意識を100%まで高められたら、ものすごく強い組織になると思います。

自分ひとりで「やったー」と喜ぶより、みんなで喜べる方がずっと幸せだと思いませんか?僕は、その瞬間のために仕事をしていると言ってもいいくらいです。

そう考えるようになったのは、職人さんと一緒に作り上げる仕事のスタイルも影響しているのでしょうか?

そうですね、それもありますが、YUICHI TOYAMA.というブランドは、スタッフがいなければ成立しなかったんです。僕はデザイナーとしてフリーで仕事を始め、自己資金でブランドを立ち上げましたが、正直言って最初はビジネスとしては未熟でした。

その僕を支えて、一緒にブランドを作り上げてくれたのが、今いるスタッフたちなんです。多くは僕より一回り若い世代ですが、彼らがいたからこそ、お店も作れたし、理想を語ることもできた。

もし彼らがいなかったら、理想ばかり語るだけの社長で終わっていたかもしれません。今もまだ「成功」と言える段階ではないかもしれませんが、「海外に展開したい」と自由に夢を語れるのも、支えてくれる仲間がいるからこそなんです。本当に、そう思っています。

今後のチームYUICHI TOYAMAが楽しみです。

僕も未来が楽しみですよ。若いデザイナーたちが、僕の DNA をどう変化させていくのか見てみたい。そのとき僕はここで“終活”というか、自分の好きなことをして過ごしたいんです(笑)
だからこのスペースは、そのためでもあるんですよ。ここで一対一で話しながら、自分のやりたいことだけをやる。でもそれを若手が見て、「こうやって世の中にデザインを伝えるなら、外で量産化するときはこうしよう」と学んでいく。ケーススタディというか、ここでインプットしたものをアウトプットしていく、そんな場所で在り続けたいですね。

Unforgettable Moment

仕事で強く印象に残っているのは、初めてニューヨークに行ったときのことです。新作のメガネを並べた展示会で、いろんな人が「Super!」「Excellent!」と口々に称賛してくれたんです。その中には、僕がデザインした眼鏡もありました。

当時は英語がほとんど話せなかったので、細かい説明はできなかったんですが、それでもデザインだけで人の心を動かせたことに感動しました。まさに「デザインは世界共通言語」なんだと実感できた瞬間だったんです。

今振り返ると、僕がものづくりを通じて得た喜びのひとつは、まさにあの経験だったと思います。もちろんその後も、職人さんとのやり取りなど嬉しい瞬間はたくさんありましたが、あのニューヨークでの体験は、とても特別なものでした。

Talking about GEN.

1.GENを見つけたきっかけ。導入の決め手。

当時使用していた基幹システムが業務量や内容に対して取り回しが利かなくなってきたため、新しいシステムを探しておりました。前身であるGENESISの時から評判は伺っており、当社の業務にフィットすると思い、導入いたしました。

2.ご担当者さまにとってのGENとは?

GENは、我が社の業務の中枢を担う、なくてはならない存在です。
受注から売上管理、請求書発行まで一連の業務を効率化し、生産性を向上させています。
特にリアルタイムに状況を把握できる点は、迅速な意思決定に繋がり非常に役立っています。今後もGENの機能が進化し、さらなる業務効率化に貢献してくれることを期待しています。

3.GENの利用状況と今後チャレンジしたい機能など

利用状況:受注納品管理、仕入発注・入荷管理、請求書発行・入金管理、売上実績分析
チャレンジしたい機能:外国通貨を使用した受注納品管理
EDI取引がGENで可能なのであれば、活用したいと考えております。

取材を終えて(編集後記)

外山さんとの対話の中で、自然と思い浮かんだのが、以前取材した照明ブランド「NewLightPottery」さんの言葉でした。デザイナーの永冨さんは「自分が死んで何百年も経った後、骨董市で子どもが『これ、いいな』と思って手に取るような照明を作りたい」と語っていました。このエピソードを外山さんにお伝えすると、「まさに同じ考えです」と、驚きながらも深く共感されていました。

照明も眼鏡も、どちらも空間や人の一部として存在するプロダクト。主役になりすぎず、でも確かにそこにあり続けるための“らしさ”や存在感が求められる。その絶妙なバランス感覚が、外山さんのデザイン哲学に通じていると感じました。何百年先にも残るものづくり――その普遍性を追求し、体現していこうとする姿が、心に強く残る取材となりました。

About YUICHI TOYAMA.

所在地:〒107-0062 東京都港区南青山5丁目12-3 1F
代表:外山雄一
https://yuichitoyama.com/

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GEN(ジェン)は事業規模を問わず、様々な業種・業態のニーズに合わせてご利用いただいております。お気軽にご相談ください。スペック表/料金表/各種資料のダウンロード、ShowRoomでの製品デモ予約や無料トライアルも受付しております。

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後編 「唯一無二の美学」YUICHI TOYAMA.の世界観を体現し、未来を紡ぐ場所

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